大阪高等裁判所 昭和61年(行コ)26号 判決
東大阪近江堂二丁目四番一〇号
控訴人
和田末市
右訴訟代理人弁護士
香川公一
東大阪市永和二丁目三番八号
被控訴人
東大阪税務署長
粕淵重治郎
右指定代理人
高須要子
狩野礒雄
田中彰
高田安三
岸川信義
主文
一 本件控除を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を次のとおり変更する。
2 被控訴人が昭和五七年三月一日付でした控訴人の昭和五三年分所得税についての再更正処分および過少申告加算税賦課決定(国税不服審判所長の昭和五八年四月一四日付裁決による一部取消後のもの)を取消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二当事者の主張
次のとおり付加するほか原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
原判決一二枚目裏四行目未尾に「小学校用地の譲渡による譲渡所得についての措置法三三条の四第一項の特別控除の特例の適用については、申告書に右特例の適用を受ける旨の記載があるのに、右に必要な添付書類が不足している場合、税務署としては申告後に右不足書類を求め補完を促すのが通例であり、本件の場合右必要書類が完備していなかつたとしても、訴訟になつてから右書類が不足しているというのは信義則に反する。」と付加する。
第三証拠
原審及び当審における訴訟記録中の各証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、控訴人の請求を原判決認容の限度において正当として認容し、その余の請求を失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加訂正するほか原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。右認定事実に反する当審における証人和田征彪及び控訴人本人の各供述は、原判決援用の証拠に照らし措信できない。
原判決二六枚目三行目の「約定されており」の次に「(なお、右転売についての農地法上の許可申請はなされなかつた。)」を、同二七枚目裏初行の「右売買が効力を生じていない」の前に「右売買については農地法上の許可を受けておらず、」を各付加し、同三〇枚目裏五行目の「なお、右買取り等の申出は、同条項の立法趣旨等に照らせば、買収者からの明確な買取り等の申出がなされていれば、それが正式文書等に基づくものでなくてもよく、本件においては、右申出が東大阪市から公社に対する買収交渉の依頼に基づき、公社からの具体的な計画を提示のうえでなされている以上、右が同条項の買取り等の申出にあたるものというべきである。従つて、東大阪市から公社への正式文書による依頼が後日なされたことは、右認定を左右するものではない。」と訂正し、同三八枚目裏末行の「認められる」の次に「(なお、控訴人は、申告者が申告書に右特例の適用を受ける旨記載したのに必要書類が不足している場合、税務署は右不足書類の補完を求めるのが通例であり、これを求めることなく右特例の適用を否定するのは信義則に反する旨主張するが、税務署に右のごとき義務があるとまでは認めることができず、右不足書類の補完を求めなかつたことが信義則に反するとはいえない。)」を付加する。
二 そうすれば、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 乾達彦 裁判官 東條敬 裁判官 横山秀憲)